ASC

名古屋大学 学生支援本部
アビリティ支援センター

在学生

支援を受けることについて

1.障害について

勉強のこと、自己管理のこと、人間関係のこと、就職活動など、大学生活の間に経験するいろいろなつまずきや困難の背後に障害が存在していることがあります。一般に障害というと、心神の医学的な異常(これをimpairmentと言ったりします)と捉えられがちですが、実際には周囲の環境との相互作用の中で障害(disability)を負った状態であるといえます。

たとえば世の中には眼鏡やコンタクトを使用している人がたくさんいます。こうした人たちのほとんどが医学的には弱視と呼ばれる視覚障害(=impairment)を有する人であるといえます。けれども、こうした人たちが「障害者」と捉えられることはほとんどありません。周囲にこうした人が多いこと、眼鏡やコンタクトレンズを使うことで障害(=disability)が生じないためです。

障害とは周囲の環境との相互作用の中で生まれてくる状態なのです。みなさんがつまずきや困難を抱えている時にも同じことが起きているかもしれません。たとえば、人が話していることは頭に残りにくいけど、文字で読めば理解ができるということがあります。その場合、講義を聞いても理解ができないし、人との会話で約束したことを覚えていないということもあるかもしれません。けれども配布資料があったり、メールやテキストでやり取りができればそうした問題は生じないかもしれません。そのようなことです。

2.支援について

視力が弱い人が眼鏡やコンタクトを使えるという環境は、医学的な障害が社会的な障害になることを防いでいます。大学で支援を受けるということは、このような眼鏡やコンタクトレンズを使うことに似ています。必要なものを適切に使えば、つまずきや困難を軽減したり、克服することができます。配布資料を求めたり、重要な情報を文字で残してもらうようにすれば、つまずきを減らすことは十分に可能です。こうした支援は眼鏡やコンタクトほど一般的ではないでしょうが、けれども眼鏡やコンタクトを使うことと同じように「普通のこと」です。

名古屋大学にはこのような支援の窓口として、学生支援本部があります。アビリティ支援センターはその中で、修学に関するつまずきや困難に関連した支援を提供しています。また、障害に由来する生活上のつまずきや困難、たとえば一人暮らしがうまくできないこと(買い物、片づけ、掃除、金銭管理、洗濯、入浴、衣替えなど)、人間関係の悩み(人と同じようにできない、コミュニケーションがうまく取れない、なぜ人間関係が大切なのかがわからない、雑談や無駄話ができなくて間が持たないなど)、余暇の使い方(趣味がない、空き時間に何をしたら良いか分からない、休みの日は疲れて寝たまま終わってしまう、ゲームやネットで時間を潰してしまうなど)といったことについても相談に乗っています。

障害の状態が悪くなる前に、必要な支援を使いに来てください。

利用者の声

FMさん(教育学部)

私がアビリティ支援センターと修学支援のことを知ったのは、4年の春学期半ばであった。それは心身の調子を崩して休学、そこから復学して半年以上経った頃だった。

私は持病により体調が不安定になりやすい。1-2年生の頃は無理をして「普通」の学生と同様の生活を送っていたが、次第にそれも難しくなった(そしてやむなく休学することに)。修学支援を受ける前までは、体調不良で休みたくても休めなかったことが何より辛かった。休むとついていけなくなるし、成績も下がる。既存のシステムの中で1人で頑張るには限界を感じていた。

アビリティ支援センターでは何度か私がどのような状況で何に困っているのかについて話す面談が行われた。とても親身に話を聞いていただき、「持病により休むことがある点についての理解、休んだ際はメール等にて資料を配布してもらう」等の修学に係る配慮事項を作成した。大学に受理され修学支援が適応されると、私の学習生活はかなり楽になった。何より、身体に無理強いしなくても良いことがとてもありがたかった。不安が軽くなったことで学習にも集中でき、成績も高水準をキープすることができた。

こうした支援を継続的に受けながら、残りの学生生活(卒業までその後2年かかったが)をやり切ることができた。卒業式で、「頑張ってよかった」「楽しかった」と素直に思うことができたのは、アビリティ支援センターの存在と、そして支援を求める一歩を踏み出す勇気があったからこそだと感じている。感謝してもしきれない。

今この文を読んでいるあなたに、学生生活を思うように過ごせていないモヤモヤがあるならば、ひとまず一度アビリティ支援センターに相談してみてほしい。「大したことない」「自分が怠けているからできないんだ」と思っていることでも、実はあなたの努力不足ではないかもしれない。困った時に「助けて」と言えることは、今後社会で生きていくうえでも非常に重要なスキルになるし、頼れる人は多ければ多いほど良い。そんな財産を残りの学生生活で培ってほしいと思う。

YAさん(教育学部)

私には,自分でやる気を出して勉強を進めるのが大の苦手で,つい先延ばししてしまうという特性があります。大学の先生やTAさんは勉強の仕方は相談に乗ってくれても,モチベーション管理の方法は相談できないので,周りに相談できる人がおらず困っていました。また,疲れやすく,つい自分を追い込んでしまうので,うつが悪化して何もすることができなくなることがあり,無理をしない体調管理が課題となっていました。

そこで,障害学生支援室(現 アビリティ支援センター)では,大学の課題や卒論,大学院の受験勉強の進め方について,定期的に支援員の先生との面談で相談に乗ってもらっていました。面談では,どうやったら勉強に取り組めるか一緒に考えていただいたり,「頑張りすぎてるよ!」と指摘していただいたりしていました。

自分の困りごとについて話すとき,「怠けているだけだと思われるのではないか」と不安になってしまうのですが,相談員の先生は一切否定せず話を聞いてくださったので,安心して自分の困りごとを話すことができました。また,モチベーションがついてこずに勉強がうまく進められないことに本当に困っていたので,相談員の先生が一緒に考えてくださって心強かったです。そして,自分ではなかなか無理をしていることに気づけないので,面談をきっかけに自分の体調や仕事量を見直すことができました。

また,障害学生支援室では,開室時に自習をさせていただけたので,知っている人が見ている環境の方がやる気が出る私にとっては,勉強を進める助けになりました。

就職について

名古屋大学では、就職活動についての個別の支援も行っています。どのように自分の強みと弱みのバランスを取りながらキャリア選択を行なっていくかについて、助言を行なっています。これについてはキャリアサポートセンターをご覧ください。

キャリアサポートセンター